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日本農業法人協会のビジョンについて

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将来のために行動を起こすにも、しっかりとした「軸」がなければいけません。
言い方を変えれば、「何を目指すのか」という将来像は「時」とともに変化することもありますが、「何のためにそれを目指すのか」という原則-「軸」は「時」とは関係なく定まっている必要があると考え、ここに「ビジョン」を策定しました。

ビジョンって何?

そもそもビジョンとは何か

ビジョンの語源は、ラテン語の動詞「videre」です。これは、「見る」という意味です。
つまり、ビジョンとは、「何を見ているのか」「どういう将来像を思い描いているのか」ということになります。

ビジョン策定の背景

日本農業法人協会は、前身である全国農業法人協会の設立から10年が経過し、この間、農業法人を取り巻く情勢は大きな変化が起こっています。
そして、今では農水省の各種審議会に数多くの会員が委員として参加するだけでなく、国会や政党、経済財政諮問会議等からも意見を求められる機会が増加しています。その一方で、会員であっても協会が何をしているのかわからないという意見など、内在する課題があることも事実です。
これら、外部からの要請、内部の問題解決を図るためにも、我々協会が「何のために、何を目指しているのか」、つまりビジョンを明確にし公にすることが重要となっています。

ビジョンの策定に向けて

将来のために行動を起こすにも、「何を目指すのか」という将来像は「時」とともに変化することもありますが、「何のためにそれを目指すのか」という原則-「軸」は「時」とは関係なく定まっている必要があります。 極端な例をあげれば、戦後間もない頃の農業は、「大量生産」が一つの目標であったと思います。
しかし、今は「大量生産」よりも「ニーズにあった生産」の方が目標としては一般的です。このように目指すべきものは時代により変化しますが、根本である「国民に農産物を供給する」という原則は変わりません。
つまり、ビジョンで将来像を語る時、まずは何年何十年たっても変わることのない軸-基本理念を明確にし、その上で現時点から見た将来像を定める必要があると考えます。

日本農業法人協会のビジョン(平成19年3月8日)

平成19年3月8日開催の第16回総会において、当協会のビジョンが承認されました。ビジョンの策定にあたっては、1年間、会員アンケートや意見交換を実施し、多くの会員の声を反映できるよう努めました。

ビジョンの解説

基本理念を見てみましょう

基本理念とは、創造するものではなく、自らを見つめなおし、これまで築きあげた信念、経験や知識を具現化するものです。
そして、基本理念により組織が導かれなければいけません。そういった観点から次の基本理念を掲げました。

<基本理念>
私たち日本農業法人協会は、次に掲げる理念を基に活動します。
【価値観】
自然・生命の摂理を重んじ、農産物の供給責任を果たします。
世界的視野に立ち、農業の牽引者として、経営革新を行い、政策改革に取組みます。
農業の新たな価値を創造し、地域社会の発展と地球環境の保全に貢献します。

【協会目的】
日本農業を生命総合産業に発展させ、すべての人と夢・希望を共有できる職業にします。
農業経営の先駆者として自己革新により自立的農業経営を確立します。

第1項は、まさしく農業の本質であり、何十年先も変わらない普遍の理念です。食料はもちろん、人々に癒やしや安らぎを与える花や樹木、そして工芸作物に代表されるような生活に必要な資材の原料となる作物の生産も農業者が担っています。
いわば、人の営みに必要なものの基本は農業が供給するという自覚、責任をあえて記しました。
最近では、バイオエタノールやバイオプラスチックに代表されるような農産物の新たな可能性もみられるようになりました。また、機能性食品等、農産物と医薬品との融合はさらに一般化していくのではないでしょうか。
これら農業の新たな価値を創造し、現実化していくためには農業者の役割が重要です。そこで、第3項にこれらを盛込みました。
他にも、現時点では想像もできないような農業の価値があるかもしれません。それを探求し続けることも農業者、とくに農業の先駆者である農業法人の使命ではないでしょうか。
そのためには、自己革新による自立的農業経営の確立は非常に重要であり、これを第5項に盛込みました。また、農業者の自らでは解決できない各種課題には、政策で補われる必要があります。
それには、農業者の声を直接政策に反映させ改革していくことが重要です。これは法人協会設立のそもそもの目的の一つでもありこれを第2項としました。
そして、農業を通じて、農業者だけでなくすべての人と利益や希望が共有できるようにならなければいけないという思いから、これを第4項としました。

「目指すべき未来」とは何か

「目指すべき未来」は2つの要素から構成しています。
1つ目は「目標」。ここで言う目標は、短期的なものではビジョンの意義が失われてしまいます。数十年先を見据えた遠大な目標を設定してこそ、大きな効果が得られます。そのためには、現状の課題、現在直面している課題を解決してこそ達成されることは言うまでもないでしょう。
そして、遠大な目標を設定してこそ、明らかになる課題もでてくるでしょう。それを、解決していく、解決する努力を行ってこそ経営体質の強化が可能となります。
ソニーでは、1950年代に、「世界に広がる“日本製品は粗悪品"というイメージを一新する。」という目標を掲げました。当時の情勢や、ソニーの規模(国内でも大企業とは言えない従業員100人程度)を考慮すれば、この目標がいかに遠大かということは容易に想像できます。しかし、経営者の情熱や従業員が一体となった取組みでこれを実現したことは皆様のご存知のとおりです。このように、「目標」は、現在の状況にとらわれない自由な発想が必要です。
2つ目は「未来像」です。「目指すべき未来」に近づくには、「目標」を掲げるだけでなく、それが実現した後にどうなるかということを鮮やかに描き出すことが必要です。
「未来像」により「目標」を補完することにより、組織のモチベーションも高まり、一体感も生まれます。

「目標」

「目標」を次のように掲げました。

「目標」
世界最高品質の農業経営を実現し、その成果によって社会を幸福にする。
世界最高“品質"の農業経営という言葉に疑問を感じられる方も多いと思います。これは、「経営品質」という概念を取り入れています。それでは、「経営品質」とは何でしょうか。簡単にいえば、優れた商品を作るだけでなく、優れた商品を作れる経営(仕組み)を作り上げることです。
つまり、農産物の品質を高めることは言うまでもありませんが、同時にそれを作り続ける“経営"を築かなければいけないということです。そして、その結果が、社会の利益として還元されることが重要です。

目標実現後の「未来像」

「未来像」は「目標」に具体性を持たせる役割があります。そのため、ここで言う「未来像」は“予想"したものでなく、 “想像"したものでなければいけません。「こうしなければいけない」という強い思いが必要です。その思いが、「目標」実現のための行動力となり、組織の連帯感の源となります。
そこで、次の7つの「未来像」を掲げました。

【未来像】
農業が若者の将来就きたい職業の第1位となる。
最適な価格と品質で、生産・流通・消費の関係がつくられる。
農業が魅力ある投資分野になる。
社会全体が農地の役割や大切さを共有する。
技術・サービス・情報が農業の領域を超えて融合し、新たな農業を創造する。
地域が社会にとっての豊かさの象徴になる。
農業を通してすべての人が生命の尊さ、環境の大切さを実感する。
世界最高品質の農業経営が実現された時、どうなっているべきでしょうか。
当然、所得の向上、社会的地位の向上等が実現されているはずです。それにより、多くの若者が農業という職業に憧れを持ち、多くの優秀な人材が農業に就いているはずです。また、生産・流通・消費の間には、対等なパートナーシップが構築され、品質に応じた適正価格での取引が実現されます。他にも、農業が中心的役割を担うことによる地域活性化の実現、生活者の農業理解の促進はもちろん生命の尊さ・環境の大切さを実感できるようになるはずです。
それでは、この目標、未来像を実現するには、何をすれば良いのでしょうか。それを第3章にまとめました。

「目指すべき未来」の実現に向けて

1.社会的使命と責任
2.生命と環境への理解に向けて
3.食農融和の実現
4.農と地域
5.農産物の生産と供給責任
6.競争力強化
7.農地問題
8.技術・サービス・情報
9.投資・金融・税制
10.人材の育成
11.政策活動

ここでは11項目の課題を設けました。他にも新たな課題が出てくる可能性はあります。しかし、それらの課題の解決に向けてたゆまぬ努力を続ければ、「目指すべき未来」に近づくことは間違いありません。

ビジョンに対する識者からのご意見

今回作成された「日本農業法人協会ビジョン」は、今までの農業関係団体・機関から発せられた文書とは異なる、二つの特徴があります。
第1は、当事者の皆さんが、自らの目標を設定し、さらに目標時の未来像を極めて具体的に語った点にあります。「世界最高品質の農業経営を実現し、その成果によって社会を幸福にする」という「攻め」の姿勢の目標設定は、当事者からの発言だけに迫力があります。また、「農業が若者の将来就きたい職業の第1位となる」「社会全体が農地の役割や大切さを共有する」等の未来像は、vision(=こころに描く像)に相応しい内容だと思います。私は、組織や地域の「ビジョン」は、最終的には新しい仲間を集める「募集パンフレット」にもなるべきと考えておりますが、まさにこれから農業に関わりたいと思う若者の心に響く未来像だと思います。
第2の特徴は、具体的な方向性の提起に関しては、一貫して「農業者自らが解決することができる課題」と「関係者では解決が難しい課題」の両者が論じられている点にあります。各項目で「農業者の責任」「農業者が担うべき」などのように、こうした文書ではあまり見られない厳しい調子の前者(農業者自らが解決することができる課題)の記述は、後者の国民的課題・国政的課題の輪郭をくっきりと浮かび上がらせることに成功していると思います。
こうした2つの特徴を持つビジョンをサーチライトとして、会員の皆さんの経営・活動がさらに力強く前進されることを期待しております。(明治大学農学部教授 小田切 徳美)

行動計画について(ビジョン第3章と行動計画のポイント)

この行動計画は、ビジョンの「基本理念」に基づいて「目指すべき未来」を実現していくための具体的な行動をあらわしたものです。
この行動計画の実行の取り組みを通じて、農業法人経営の多角化・高度化を進める中で、一層の経営政策の純化を追求し、その結果、経営の幅を広げ、政策依存から脱却し、真に自立した農業法人経営を確立していきます。

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