◆世界貿易機関(WTO)交渉のモダリティー合意を目指していた閣僚交渉は昨年内の開催が見送られましたが、新聞では、今年後半に、再度交渉が加速化する旨の報道がされております。
当協会としましては、単に農業・農業者を守るという観点から反対の叛旗を掲げる
つもりはありません。
しかし、今後のWTO交渉の結果として関税を引き下げることが本当に国益につな
がるのか、国民に正しい知識を持ってもらう、生活者に対して説明責任を果たす、と
いう当協会の姿勢を示す必要があると考えています。
そこで、社団法人日本農業法人協会は今後のWTO農業交渉に関して、以下のとお
り見解を表明します。
WTO農業交渉に関する見解
平成21年1月
社団法人 日本農業法人協会
昨年来のバイオ燃料ブーム、新興経済国の台頭、途上国の人口増加などを背景とする穀物相場高騰は、世界的な食料争奪、さらに農地争奪戦を引き起こし、かねてから懸念されていた「食料危機」が、まさに現実のものとなりかねない状況を見せ始めています。このことは、欧米各国同様に国内農産物生産を振興し、平時から不測の事態に備えておく必要があることを明白にしました。
一方、日本国内を見ると、食のグローバル化によって食料の海外依存が著しく進み、食料自給率はカロリーベースで40%まで低落しました。それと並行して、国内農地や農村の荒廃、農業者の高齢化による農業生産力の低下は、すでに危険水域を超え、10年後の展望さえ描けなくなりつつあります。
農林水産省では今年1年をかけて、新たな食料・農業・農村基本計画の策定に向けた検討を進めていくこととしており、その検討材料として、国内農業の食料供給力の強化及び食育による国産農産物の消費拡大により、おおむね10年後において、食料自給率50%を達成するとしたイメージと取組事項を公表しています。しかしながら、もし今後のWTO交渉において関税削減が進んだ場合においても食料自給率50%が達成できるのか疑問です。
我々は、他産業に比べ、あるいは他国に比べ競争力の劣る日本農業は経済原則に則って淘汰されるべきとの自由貿易至上主義に対して、単に農業・農業者を守るという観点から反対の叛旗を掲げるつもりはありません。
しかし、農業者の経営努力では対応困難な特有の生産条件格差が存在し、日本の農業経営を維持するためには、これに対して適切な政策措置を講じる必要があることを国民に対し明確に示す必要があると考えています。
また、今後のWTO交渉の結果として関税を引き下げることが本当に国益につながるのか、国民に正しい知識を持ってもらい、しっかり議論してもらう必要があると考えています。
以上の基本認識を踏まえ、今後のWTO農業交渉に関して、次のような取り組みが必要と考えています。
一、新たな食料・農業・農村基本計画の策定に向けた検討のなかで、WTO交渉により農産物の関税を引き下げた場合にでてくる影響について国民に早急に示し、国民の幅広い参画のもとに議論を進め、日本の将来の姿を明確にしたうえで、交渉に臨むこと。
一、上記議論においては、日本農業には経営努力では対応困難な特有の生産条件格差が存在することを明らかにするとともに、日本の農業経営を維持するためには、これらに対しては適切な政策措置を講ずる必要があることを、国民全体に明確に示すこと。
一、さらに、WTOが目指す関税削減自体が、世界的な食料危機が懸念される状況のなかで合致するルールなのか、日本が主体的に検討し、必要があれば新たな貿易ルール作りに取り組むこと。
以上
[この件に関する問い合わせ先]
〒102-0084 東京都千代田区二番町9-8中労基協ビル1F
社団法人日本農業法人協会 政策課 城間、岸本
電 話:03-6268-9500 FAX:03-3237-6811
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